自宅横の遊歩道の桜の木が淡いピンク色から瑞々()しいグリーン色に衣替()え。 その木の周りには桜からバトンを受けたツツジの花が鮮()やかな赤紫色に染めて、道行く人々の目を楽しませている。 学校帰りの子供たちがツツジの花びらの根本()から甘い蜜()を吸っている。ふと子供の頃の自分を彷彿()とさせた。 楽しそうにはしゃいでいる女の子たちの中の一人が、こちらを向いて優しく微笑()みかけている。 「うん?どこかで見た様な…。あっ、瞳()や」 久しぶりに元気そうな瞳()の顔を見て、私は嬉しさのあまり瞼()に涙をにじませた。 いつの間にか場所が自宅()に移った。 朝、起きると台所()で中学生らしき女の子が弁当を作っていた。友達も一緒に居て何やら話している。 「私とこのお父さん、若なったやろ。最近、シャツの裾()を外に出してるねん」 どうやら私の事を話しているみたいだ。目を擦()ってよく見ると瞳()だ。そして友達は仲良しのミコちゃんだ。 「なんで中学生()やねん?なんでこの時間にミコちゃんがココにいてるねん?」 疑問()に感じると同時に目が覚めた。 弁当はいつも妻が作っていたのに「瞳()も自分で作る様になったんや、しっかりしてきたなあ」と感心。 「天国()で友達も出来たし、ちゃんとしてるで。お父さん、安心してや」とのメッセージかなと思った。 瞳()の夢は、月日が経つにつれて徐々に見なくなっていたので、久しぶりに見ると懐()かしさで胸がジーンとくる。 「久しぶりやなあ、瞳()…」 その余韻()をいつまでもベッドの中で噛()みしめた。
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